ガフの部屋-1

 この部屋も基本的には、寓意です。

ただし、第六章のように感動的な寓意ではありません。

悲しみ、憎しみ、怒り、嫉妬などのマイナス面が渦巻いています。

いわば「気持ち悪い」部屋です。






はじめに

エヴァは、SFでもカルトでもない。

1960年前後に生まれ、悲しい青春、残酷な青春時代をおくったアダルトチルドレンたちにしかわかりえない、そして叫ぶことによってしか補完し得ない「叫び」である。

そして、叫んだところで心は決して癒されることはない。

だから、エヴァは、彼女と楽しい青春を謳歌し、普通に結婚した一般人には全く関係の無い話なのだ。

それは、知られたくない心の内側。ATフィールドで守られている心の内側。

ドロドロとしたいやな青春の思い出。

違う、克服したつもりになっていただけだ。忘れたかっただけなんだ。

せっかく忘れていたのに、思い出させないでほしかった。

「私の中に入って来ないで」

「心を犯さないで」

痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。

「痛い」

「それを、寂しいっていうのよ」

適格者であるアダルトチルドレンがエヴァにシンクロすると、心が痛みを感じるように仕組まれていたのだ。



1960年前後に生まれた日本人

彼等が、中学生時代の日本は、青少年の自殺率や非行が最も低くなったときだ。

そして、(塾に行く子供は少なかったが)学力は最も高くなった。

そう…

彼等は「よい子」として育てられた。

これは、前の全共闘世代の「過ちを」をくり返さないために仕組まれたことでもあった。

これは、ちょうど今の中学生から20代前半の世代が、その前の校内暴力をくり返さないように去勢されたのに似ている。

そして…

1960年前後に生まれた今の30代は「3無主義」とか「やさしさの世代」とも呼ばれた。

しかし、「よい子」として育てられた彼等は、「よい子」でいるための強迫観念もあった。

これも、今の10代から20代前半の人が、仲間はずれを恐れる強迫観念に似ている。


オウムも酒鬼薔薇もエヴァも、共通点は「よい子」である。

温室育ちの「よい子」は、毒とか悪との共存をしていない。

免疫がないのだ。

これは、D-157や抗菌ブームともつながる。

そして

これらの逆なのが、実は日本人が憧れる

「寅さん」「つりバカ日誌の浜ちゃん」「こち亀の両さん」の世界なのだ。


エヴァのコミック版では、第3新東京市に来る前のシンジは、おじさんの家の離れで暮らしていたことになっているが、

私は、アニメ版の「先生のところにいた」という設定の方が重要かつリアリティがあると思う。

教師に育てられた子供は、えてして極端に2分化される。

ぐれるか潔癖症のよい子に育つかの、どちらかの場合が多いのだ。

シンジのように、服をきちんとたたんだり朝昼晩の食事をきちんと作れるような子供は、親戚に育てられたのではあり得ない。

教師に育てられたのだ。

だから、シンジは「よい子」に育った。



アダルトチルドレン

心に「男女交際=悪」という刻印が押されたチルドレン。

そして、これがトラウマとなって青春時代を苦しめる。

本能のおもむくままに行動ができなくなってしまったチルドレン。


母の愛に溺れる哀れな少年

子離れできない母親

うんざりするよな母の愛

へその緒でつながれた親子

気持ち悪い


父親は、唐突に殴る

父親への恐怖

だから

とりあえず「いい子」でいるアダルトチルドレン


子に教育の見返りを求める親

だから

「私はいい子でいなけりゃいけないの」


彼等はよい子でいなければならなかった

人形のように

「この人形に心なんかある訳ないでしょ」

「わたしは、あなたの人形じゃない」

人形のように…

またはロボットのように…

それは、人造人間かも…

愛に目覚め、へその緒の切れるまで、

拘束具を自らの力で引きちぎるまで…

彼等はロボットとして扱われる

アダルトチルドレンは親から見れば「人の造りしモノ」でしかない



よい子

逃げちゃダメ(逃げる=悪)

我慢しなくちゃダメ(我慢できない=悪)

騒いじゃダメ(騒ぐ=悪)

甘えちゃダメ(甘える=悪)

遊んじゃダメ(遊ぶ=悪)

嘘をつくな、誠実であれ(嘘つき=悪)

しかし、真実をを言うことで相手を傷つけることもある。

正直に生きることは、必ずしも誠実に生きるとは限らないのに…

「私はよい子でいなけりゃならないの」

「でも、よい子でいるのは、もうつかれたわ」

「潔癖症は辛いわよ」「汚れたと感じたとき、それがわかるわ」

つまり、閉息感。

「そんなに辛かったら、もうやめてもいいのよ」

「我慢しなくてもいいのよ」

だけど、誰もそうは言ってくれない。

しょうがなく、すべてを背負い込んでしまう30代。

争いを嫌う30代

もめるくらいなら自分が貧乏くじをあえて引く30代。


酒鬼薔薇もオウム真理教の幹部(これはまさに同世代)も結婚できない30代男性も、みんな「よい子」であることを強要されて育てられている。

人間の心は、悪とか毒とかの陰の部分と共存しないと健全に育たないのに…

だから、閉息してしまうのに…


道徳の研究校になった学校は、発表が終わると必ず荒れる。

「いい子でいなければならない」ことを強要された反動が起こるのだ。



悪魔

この閉息感から解放されたい

悪魔になりたい

汚れたい

だけど、悪魔になりきれない

汚れ、つまり人と人の付き合いの免疫がない

「天使のように繊細に、悪魔のように大胆に」生きてみたい

だけど、本当は悪魔の方が繊細

傷つきやすいから悪魔になった

「ガラスのように繊細だね。特に君の場合は」


※天使は繊細=先妻=リリス?


ガラスのような壊れやすい心

つまりコア

誰もが持つ壊れやすい魂の部屋



 大天使ほど堕ちやすい=よい子ほど 悪に走りやすい。

 ルキフェルは、堕天使になる前は、神の右に座ることを許されるくらいの上級天使であったのだ。

また、「光を放つもの」として尊敬を集めていた。

すなわち、これは人類への隠喩であり警告である。

 免疫の無い、素直な、誠実な、天使のようなよい子であるほど、ひとたび堕ちると大悪魔(サタン)へと逆転してしまいがちなものである。

彼等は、ただ、人に近付きたかっただけ。

※人間の女性をたぶらかす堕天使神話

しかし、人間との間には、どうしようもない差異(ATフィールド)があった。

故に、彼等は悪魔にならざるを得なかった。



恋愛における強迫観念 その1

愛し合いたい

でも相手を傷つけてしまう

だけど

自分が傷つくのはもっと嫌


愛して欲しい

しかし

愛してもらえないのは

自分が愛さないから

「あんたが全部、私のものにならないのなら、私、何もいらない」



鳴らない電話

鳴らない電話を待って気を揉む原因

それは

自分で電話をかけるのが恐いから

自分が傷つくのが恐いから

「自分のことしか考えてないのよ」

つまり、他人のことを考えてはいない

だから異性を幸せにすることができない

「彼女達は男性の唇の感触を望んでいるのに」

「つまらない男」


そして、鳴る電話もまた恐い

返事を聞くのが恐いから

自分が傷つくのが恐いから

返事への強迫観念

「ひょっとして、その気になってた」

「やっぱり友達以上に思えないの」

「正直、苦手というより、一番嫌いなタイプなのよ」

「勘違いしないで、だあれがあんたなんかと」

「あなたとだけは、死んでもイヤ」

etc,



陵辱

「彼女達は男性の唇の感触を望んでいるのに」

女性に好きだと言ってあげない

女性に「きれいだ」と誉めてあげない

連絡をとってあげない

自分から電話をかけない

別の女性に興味を示す

2次元空間の女性に興味を示す

描かれた女性に興味を示す

それは、あなたの望む理想の女性像

巨乳で、従順で…

しかし、これらの行動は、全て女性への陵辱


バーチャル化された女性への逃避

そして、現実の女性はアスカは言う

「ファーストもミサトも恐いから、私に逃げてるだけじゃない」


理想化された女性像レイ、そしてヤオイの代表カヲル

バーチャル化された女性への逃避

「代理の異性」

「僕の現実は、どこにあるの」

「それは、夢の終わりよ」



恋愛における強迫観念 その2

アオイ(=A01=青年)奴らが攻めて来る

愛を(=A10)奪いにやって来る

彼等は、様々な可能性を持っている

「彼等は別の可能性」

容姿とか、お金とか、車とか、才能とか…

スポーツマンだったり、口がうまかったり…

「私には何も無いもの」

「彼等に勝つには同じ力を持つ…」

「また、これに乗らなくちゃならないのか」

「エヴァのパイロットでない僕もあり得るんだ」

しかし、その背後には、いまだにへその緒が繋がれている

親の呪縛から逃れられないチルドレン

「子供であることを思い知らされた」

真の愛に目覚めるまで親に拘束される

アダルトチルドレン



失恋

愛を失う(=A10失う)

つまり

LOST LOVE(失恋)

エヴァは、青春時代の恋愛における敗北者の叫び

だから、エヴァンゲリオン(勝利の知らせ)と呼ばれる


始めて自分を「好き」と言ってくれた異性

しかし、その人にも裏切られた

「やっぱり友達以上に思えないの」

「だましたな」

「とうさんと同じに裏切ったんだ」

「ブサマね」

愛が憎しみへとひっくり返る

愛が憎しみへとリバースする

希望は失望へとひっくり返る

「失望の海」「君には失望したよ」「おまえには失望した」 「ちくしょう」「ちくしょう」「ちくしょう」「ちくしょう」「ちくしょう」「ちくしょう」「ちくしょう」「ちくしょう」

「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」

「悔しい。だから殺すの」

「空しさが、世界を包み込んでいく」

世界が悲しみに彩られていく

世界が憎しみに染まっていく

世界が怨みに満ちあふれていく

「だから、みんな死んでしまえばいいのに…」

だから、みんな地獄に落ちればいいのに…

「もうイヤだ。死にたい。もう何もしたくない」

普通の生活がしたかっただけなのに…

普通の生活がしたいのに、それがかなわない

だから、悪魔になる

12枚の悪魔の羽根が生える

そして、世界をこの手で握りつぶす

「自分の復讐のために人を傷つけるのはやめなさい」



「もう、いいの」



すべては、青い(=A01)春の思い出

そして、補完されない心は

未だに夏のまま…

つまり

「過去の傷痕」

「セカンドインパクトのとき、ちょっちね…」

胸の傷痕

それは15年前の出来事

つまり

春の出来事



過去の傷痕=あきらめきれない心

「自分が人から愛されるとは、信じられない」

やっと、現れた自分を愛してくれた人

「かわいい」と言ってくれた人

始めて自分を「好きだ」と言ってくれた人

しかし、彼女は消えてしまった

もう一度会えるのなら人類を滅ぼしてもよい

「しつこいわね。よりを戻すつもりは更々ないの」

「ごめんなさい。今さらやり直せる訳ないでしょ」

「これ以上つきまとわないで。もうダメなの。別れましょ」

過去の傷にすがって生きる悪魔たち

「彼女が唯一の希望だったのに…」

「だけど、僕はもう一度会いたいと思った」

「その時の気持ちは本当だから」

愛と固執は同義

だから愛が大きければ大きいほど

裏切られたときの憎しみも大きくなる

「あなたはわかろうとしたの?」

愛と憎しみは表裏一体

ガラス張りの心=コア

陵辱され、ぼろぼろになった心

過去の傷痕

そして、

これがトラウマになる

失敗と失恋を恐れるようになる

もう愛を(A10)失うのはイヤ!

そして、再び、

他人の恐怖が始まる

ATフィールド全開!

電話も恐くなる

鳴らない電話



補完=結婚

お互いの心の内側がわかるかわりに、

お互いの嫌な部分も認めなければならない世界

補完、

すなわち夫婦生活=結婚

それが、あなたの望んだ世界

目の前に望んだ人が現れて

一人、また一人と補完(結婚)されていく人々

「おめでとう」

しかし、自分だけは補完されずに取り残されていく

「友人が次々と結婚していく中、ひとり焦りを感じるミサト」

「誰でもよかったんでしょ」

「私と一つになりたいんでしょ。体を一つに重ねたいんでしょ」

「僕の相手をしてよ。僕にかまってよ」


結婚とは、結び婚う(まぐあう)こと

ユイ(結)の魂がリリスに納まる

すなわち、

結納

シンジが母ユイ(結)のクローンと婚う(まぐあう)

すなわち、

結婚

人類最初の夫婦=アダムとリリス

それは、希望

それは、夢



※日本における海人の共同体である結(ゆい)の語源は、カヌー状の丸木舟を横につなぐところから来ている、との説がある。

してみれば、結(ゆい)とは舟を横につなぎ、錨(碇)とは、舟をたてに固定させることになる。

「碇ユイ」という名前は、舟を中心とした十字架を表現しているのだ。



夫婦=アダム&リリス=希望

人類最初の夫婦=アダム&リリス

それはチルドレンの心の中にある希望

「人の希望は、悲しみにつづられているね…」



独り者が補完される事実

補完=結婚

しかし

エヴァにおいて、恋人のいる人物は補完されていない

それどころか、

無惨な死が与えられている

つまり…

子に喰い殺されるゲンドウ

ゲンドウに殺されるリツコ

戦自に殺されるミサト

ゼーレに殺されるリョウジ

しかし、

独り者は全員が幸せそうに補完された

つまり、

恋人もしくは伴侶のいる者への嫉妬

カップルの殲滅

独り者への憐れみ(弱者への憐れみ)

これは、悔しさに裏打ちされたもの

打破できない、自分の現状への悔しさ

世間への嫉妬

「だから、みんな死んじゃえ」

そして憎しみ

その憎しみは、現状を造り出した元凶とも言うべき「チルドレン達の親」へと向けられる



普通の幸せ

エヴァにおいては

独り者も多いが

いわゆる、一般の家庭シーンがほとんどない

父、母、子の3者が揃っている家族を持つ登場人物もいない

唯一描かれたのが第弐拾六話の学園編の家庭シーンである

エヴァでは、あまりにも一般の家庭シーンがないため

この学園編の家庭シーンが(本当は最も普通の家庭シーンなのに)異質に見えるほどだ



普通の世界

普通に生きたい

「楽になりたいんでしょ。安らぎを得たいんでしょ」

この学園編の家庭シーンこそが「望む世界」

普通に恋をして

普通に結婚して

普通の家庭を築きたい

妻に愚痴をこぼされてみたい

夫婦喧嘩をしてみたい

「なんや、また夫婦喧嘩かいな」

第弐拾六話で描かれる「あなたの望んだ世界」

結婚=補完

しかし

普通になれない

現状を打破できない

この閉息感

だから悪魔になる





「私の心をあなたにもわけてあげる」

「この気持ち、あなたにもわけてあげる」

「痛いでしょ。ほら、心が痛いでしょ」

「イタイ?−いえ、違うわ。…サビシイ?そう、寂しいのね」

「独りが嫌なんでしょ。それを寂しいと言うの」

「それはあなたの心よ」

「悲しみに満ち満ちている。あなた自身の心よ」

あなたは、この気持ちわかろうとしたの?



心は…

十字架に張り付けられ

胸が張り裂け

魂(コア)をむき出しにして

吠えつづける初号機

そして…

愛を(=A10=アイオ=eyeを)奪われ

悶絶する

アスカの断末魔の叫び



エヴァンゲリオンは、あなたの心の奥にしまいこんであるガフの部屋を開く。

それは、世界の始まりと終局の扉である。




 

 

 

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